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マーケティングの最重要フレームワークは「ペルソナ」

ペルソナとは

ペルソナという言葉を聞いたことがあるだろうか。マーケティング系のセクションや会社に所属していれば熟知していると思う。ただマーケティング担当になったばかりという担当者は知らない場合も多い。一言で言うと

「対象となるサービス/商品を購入する、代表的なお客様像(ターゲット像)」

の事をペルソナと言う。こうした事を想定するのは当たり前と言えば当たり前だが、実はペルソナかなり深堀してターゲット像を想定する。ターゲットの属性だけではなくライフスタイル、ビジネススタイル、ファッション、お金の使い方、家族関係、交友関係、平日の行動、休日の行動、どんな趣味があり、どのようなメディアが好きかなどを詳細に想定し、名前まで想像する。つまり現実の人物を想定するに近い。

なぜ、ここまで想定するか。簡単に言えば次の想定が出来るからだ。

  • サービス/商品を選ぶ、利用する理由を理解する
  • サービス/商品を知る機会がどこにあるか理解する
  • サービス/商品に求める特徴やブランド性を理解する
  • 購入できるコスト範囲、品質を理解する
  • 購入する動機、機会を理解する

マーケティングを理解していれば、これらの重要性はわかって頂けるだろう。もちろんマーケティング戦略立案以外にもペルソナを利用する理由がある。特に以下の点が重要だと考える。

  • 社内合意形成→社内、社外のステークホルダーと情報共有する(戦略の合意形成)
  • マーケティング戦略→マーケティング活動、営業活動のPDCAの軸
  • 経営戦略の軸→新規事業、事業戦略等の基本情報

日本のマーケティング先進企業として有名な花王、トヨタ、資生堂は特にペルソナを重視している。しかし多くの企業ではペルソナを知ってはいるが、残念ながらペルソナをアウトプットしている企業は少ない。日本でマーケティングが定着しない、または使いこなせない理由がここにあると思う。

BtoCのペルソナ、BtoBのペルソナ

一般的にペルソナはBtoCの物とされている。確かにBtoBは企業間取引であるため、個人の嗜好、ライフスタイル、交友関係は関係ない。しかし企業環境、社内での立場や環境、個人の能力や経験、ステークホルダーとの関係性などの把握必要である。つまりBtoCとは違う項目となるがBtoBであっても担当者、決裁者のペルソナは必要だと言える。

ペルソナ作成には感覚、予想レベルではなく客観的な情報が必要

あまり大上段には立ちたくないが、理想論で言うとペルソナの作成には市場調査、アンケート等の調査をしたうえで作成するのが理想とされている。ただ、これを持ち出すと「ペルソナ作成」のハードルが高くなってしまうので、例えば社内営業部、カスタマーサービス部、店舗、外部企業等のヒヤリングでも十分に情報は得られる。面倒だから作るのはやめようと思わず、身近な情報源を活用して必要な情報を収集しよう。以下の優先順位で進めると良いと思う。

  • 市場調査、アンケート実施
  • 外部協力企業(代理店、店舗等)のヒヤリング
  • 社内フロントセクションのヒヤリング
  • 統計情報、データ

自社で出来る範囲で情報を集めてみよう。

BtoCのペルソナ作成

ペルソナの設定項目は、サービス、商品、製品により異なるがBtoCの場合は、以下の項目を基準に検討するのが良い。

●属性
年齢、性別、居住地、学歴、結婚、収入、預貯金

●ライフスタイル
価値観、チャレンジしたいこと、起床就寝時間、活動エリア、衣(ファッション)食(食生活)住(住居環境)、車、投資等
インターネット利用状況

●趣味
休日の活動、趣味趣向、好きなメディア、影響を受ける情報

●人間関係
友人関係、家族関係、その他人間関係

●仕事
場所、職業職種、労働時間、休日、社内人間関係

●名前、見た目

名前と人物写真(絵)を加えることでより実在感をもったイメージに仕上げる。これが意外と重要。写真や名前が無いと単なるデータとなってしますが、これが加わると実在感が増して「この人に買っていただくには」というイメージがしやすくなる。ペルソナは実は1名に絞ることがよりリアルなマーケティング活動になるためお勧めだが、複数が避けられない場合もあるため臨機応変に設定しよう。

残念ながらサイトが消えているので終わってしまったサービスだと思われるが、かつて「ぺるそね」というペルソナ情報が得られるサイトがあった。以下の様な、イメージがしやすい情報を得ることができた。

このように整理するとターゲットがわかりやすくなる。

BtoBのペルソナ作成

BtoBの場合は実は3つのペルソナが合体するイメージとなる。3つとは「会社のペルソナ」「担当者のペルソナ」「決裁者のペルソナ」だ。最終的には1つにまとめることになるが、検討段階では3分割して進めることにより整理がしやすくなる。項目はBtoCとは全く異なる。基本項目は以下で整理するとわかりやすい。

●会社
社名、所在地、業種、従業員数、売上、マーケットエリア、業界環境、企業環境、課題、チャンス

●担当者
・属性
年齢、性別、学歴、役職

・仕事内容
部署、業務概要、業務上で大切にしている価値観、優先順位、ルーチン業務とチャレンジ、インターネット利用状況、情報収集方法

・立場
部内の権限、上長の権限、以上各予算権限範囲、社内ステークホルダーとの関係

・ライフスタイル
通勤時間、平日の家庭の過ごし方、休日の過ごし方

●決裁者
部署、権限、予算範囲

BtoCのペルソナの場合、いっそのこと実在会社の実在人物を元に想定しても良いかもしれない。特に重点的に拡大したい業種がある場合は具体的社名を出した方がマーケティング戦略もより現実性が高いものが生まれる。

騙されたと思ってペルソナを作ってほしい

繰り返すが日本の企業はペルソナを作らない。これに対して誰も何も言わないため、無くても済んでしまうが、騙されたと思って作ってほしい、自身の戦略立案に限らず、セクション内合意、関連セクション合意、企業内戦略の方向性など、その影響は計り知れない。もしペルソナを作る社員があなた一人だとしたら数年後には社内の発言力が明快に強まっていることに気づくことになる。

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